フランス・コロナ、外出規制の12日目 教皇メッセージとモーツアルト 

3/27、フランスの首相が外出規制を2週間延長した。全部で6週間と言われていたのに、小出しにするのは余計に悪いとマリーヌ・ル・ペンが批判している。
感染のピークは4/5,6頃という。前にはこの週末か3月末と言っていたのに。
でもフランス人のリアクションは意外に素直だ。
それを思うと、週末の外出自粛を要請されただけでまたトイレットペーパーや缶詰などの食料の買い占めに走ったという日本の都市民の気持ちは理解しがたい。

日本人で、日本にいる時は東京を足場にしている私としては、その底に、単なる国民性以外の別のものを感じてしまう。
それは、日本にいる日本人の持つ震災の記憶と不安だ。いつ来るか分からないけれど、いつかは確実に来ると言われていて、運が悪いと死に直結する「大震災」のイメージは、頻発に起こる小規模な揺れや、3.11の生々しい記憶によって絶えず喚起される。
「いざという時」のための防災グッズ、非常食から簡易トイレまでをいつでも運び出せるように、あるいは閉じ込められても生き延びられるように最小限具えて用意しておくようにというのは徹底しているし、多くのうちはその準備がある。
その「準備万端」で安心かと言えば、実際いつどこで誰と何をしている時に「その時」が来るのかは分からないのだから、多くの日本人の頭のどこかにその「不安」が潜在している。
普段はもちろん意識していないけれど、あちこちでの地震のニュースが報道される度、「防災の日」が来る度、そして軽い揺れを感じるたび、その不安は呼び覚まされる。

フランスにいると、それがゼロになる。都市封鎖になっても、外出が規制されても、少なくともその間に「地震が起きる」という可能性はない。それがフランス人の隠れた「余裕」なのかもしれないと思う。
(でもイタリアは日本と同じ「地震国」だから、そこにもフランスとの「隠れた危機意識」の違いがあるのかもしれない)。少なくとも、地震のことを普段考えるフランス人はいない。彼らにとっては、床が揺れる、地が揺れる、ということは実生活のまさに想定外だからだ。
あちこちで地震や火山の爆発がのニュースがあっても、自分たちは無縁だと思っている。

最初にCovid19で武漢でが封鎖された様子を見ていたフランス人は、あれは遠いアジアの出来事で自分たちは無縁だろうと思っていたわけだ。
まさかイタリアがあっという間に大感染の地となって、フランスもその後を追うなどと考えていなかっただろう。

そのイタリアで、3/27の夜、教皇が、誰もいない雨に濡れるサン・ピエトロ大聖堂の広場の前で、語り、祈り、祝福した。

この世界が戦争や環境破壊で病んでいくのに人間だけが「健康」でいられると驕っていたところにこのパンデミックが起きたことで、本当に必要なものとは何かを問われている、という趣旨だった。

思えば、このcovid19による前代未聞のヴァティカン封鎖に乗じて、アンチ教皇派はそれがまるで、神が教皇に与えた警告であるかのように語り始めている(カザフスタンのアスタナ補佐司教であるアタナシウス・シュナイダー)。また、教会の典礼を封じるイタリアやフランスの首相のことを、三世紀末にキリスト教徒を大弾圧したディオクレティアヌス帝や、1905年に政教分離法を成立させた過激な反教権主義者のエミール・コンブにたとえた。

でもこの教皇の言葉はバランスがとれている。
こういう危機の時に宗教者が神に対してどういう祈り方をすべきなのかを考えさせてくれる。

私はと言えば、弦楽アンサンブルの仲間が、モーツアルトのトリオ曲のスコア譜とパート譜を送ってくれた。
次に会う時はすぐに合わせられるようにと。私はヴィオラのパート3ページ分だけプリントアウトして弾いてみた。
実は、外出禁止の間はやっぱりソロ曲だなあと思って、バッハとテレマンを譜面台に置いていたのだけれど、まずギターのソロ曲の暗譜をさらいはじめたので、ヴィオラには触っていなかった。

最後の練習からちょうど2週間経っていた。
で、こういう状況で、このパート譜を弾くと、他のメンバーと同時に弾いているような別の世界にワープしたような気分になった。
同時に、モーツァルトって、こんな人だったんだ、ってはじめて分かった。
今までは、流れる音楽の中に顕れてきたモーツァルトが、演奏者の内側に顔を出してくる。豊穣と孤独のはざまで必死に歌い続けようとしている、そんな人だったんだ。

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